2023年12月10日
薬剤師に自分の病気のことを話したがらない患者は一定数います。それは医師にもう説明したから同じ説明をしたくないと医薬分業に対する理解が足りていないとか、説明はいらないから薬だけ早く出してほしいとか、他の患者に聞かれたくないとプライバシーの問題など様々な理由があります。そんな患者にも丁寧な対応をすることが大事です。
患者と無理に会話する必要はない
薬局では、患者と必要以上に会話する必要はありません。処方箋を出すための最小限のやり取りだけすれば良いのです。患者は急いでいるから薬だけ出してほしいと、薬を提供してもらうスピードを求めているからです。ただし、処方する薬が適切なものであることを判別するために、最低限の説明と確認は必要です。
話すと長くなりそうな場合は、指導せんや薬剤情報提供書などを利用して時短を狙いましょう。患者の要望に応えることが第一ですが、機械的なやり取りになってはいけません。短時間で丁寧な対応を心がけましょう。
患者が必要以上に話すことがないように、事前に投薬前の薬歴や、お薬手帳のチェックを念入りに行うことも、短時間で患者に対応するために重要です。
思いやりを持って、じっくり誠実に話を聞こう
患者に上手く話してもらうために、まずは聞き上手になりましょう。話をじっくり誠実に聞くことが、患者との信頼関係を築くことに繋がるからです。相手の目を見て話を聞いて、相槌を入れ、否定せずに共感することを意識するだけでも変わります。
また、相手に興味を持って話を聞くことも大事です。人は自分に興味を持ってくれる相手にはつい話し込んでしまうものなので、患者に本音で話してもらうためにも心がけたいことです。そもそも患者は体調が崩れていて、気持ちが穏やかではありません。
病気という辛い状態を早く抜け出したいと思っています。患者を精神的に追い詰めることがないように、否定せずに受け止め、思いやりを持って対応しましょう。
本音を引き出すための工夫をしよう
的確な投薬をするために、患者の本音を引き出すことも大切です。そのために、薬局側から様々な工夫をすることが求められます。まずは、座ってもらって話を聞きましょう。座って話す方が緊張がゆるみ、患者も本音が出やすくなります。
また、患者の話を否定してはいけません。まずは患者に自分の事を語ってもらって、「あなたのことを教えてほしい」というスタンスで対話に臨みましょう。その上で積極的に質問し、「話すほどではないけどなんとなく感じていること」を引き出して症状を正確に理解しましょう。
ただし、患者に問い詰められていると思わせるような高圧的な対応をしてはいけません。患者の話を否定せずにまずは一旦受け止めて、そこから伝えてくれた内容をさらに詳しく話してもらいましょう。薬剤師は「もしもの時に頼れる存在」です。
「あなたの役に立ちたい」という気持ちを持って、患者との信頼関係を築くことを忘れてはいけません。