2023年08月03日
超高齢化社会が将来的に予測できる日本において、薬剤師が対応する患者さんも高齢の方が多くなることは目に見えています。同じ患者さんでも高齢の方には特有の注意点などがありますが、どのような点に気を付ければ良いのでしょうか。
たくさん薬を飲んでいるケースは多い
高齢の方は他の患者さんと比べて複数の病院に通院している方が少なくありません。その分、処方されている薬が比較的多く、薬剤師はどのような薬を普段服用しているかの把握を確実にすることが求められます。
そのためお薬手帳や本人、あるいはご家族の方からの話から飲み合わせの悪い薬や残薬などの確認を行います。また、薬は一包化されていると取り出しやすいですが、シート状のものから一つずつ取り出す場合、患者さんによっては薬を押し出して取ることに苦戦する方もいますので、その点に注意を払った薬の取り出しやすさを尋ねる配慮も必要です。
なお、近年は健康志向によるサプリメントや健康食品を利用する高齢の方も多いですが、中には服用している薬と相性の悪いものもありますので、普段サプリメントなどを利用しているかどうかの確認も怠らないようにします。
話し方や伝え方に気を付けて自尊心を守る
そして、高齢の方は薬の飲み忘れをしてしまう方も多いですが、飲み忘れに気付いてもそのことをストレートに注意をするのは止めましょう。誰でも叱られるのは嫌なもので、わざとではないことを注意されると心も傷付きます。
ですので、遠回しにやんわりと尋ねるように努力をして、話し方も優しく丁寧に、ゆっくりと話すことを心掛けて年長者を敬う気持ちを忘れないようにします。かと言って、子供をあやすような話し方はNGです。
どこまでも相手の自尊心を傷付けないように振る舞うことを心がけましょう。
コミュニケーションを取る中で認知機能に注目する
また、誰でも年を重ねると目や耳の機能が衰えるのは当たり前ですが、高齢の方にとっても見えにくい、聞こえにくいという状態は薬の説明文を確認することや、薬剤師の話を正確に聞き取ることができないので、コミュニケーションを取りながら患者さん本人の認知機能が衰えていないかどうかの観察も大切になります。
特に、認知症を患っている場合は適切な薬の服用や管理が難しくなるため、患者さんの認知機能がいつもと違うと気付いたら、できればご家族に、福祉サービスを利用している方であればケアマネージャーなどに相談をします。
そして、認知症などが理由で本人が薬を管理することが適切ではないと判断をした場合は、ご家族の方やケアマネージャーに本人に代わって薬の説明及び管理をお願いすることになります。