2023年01月02日
薬剤師は、病院や薬局といった直接患者に接して調剤や薬の管理を行う職場ばかりでなく、医療法人への医薬品の情報提供や新薬の開発、治験などを行っている製薬会社でも必要とされています。製薬会社に勤める人は、他の職場と日々の業務内容や仕事で必要なスキルが大きく異なります。そこで、国内外の製薬会社の主な職種や求められる能力、働き方について紹介します。
医薬品の情報提供には専門知識と説明力が重要
製薬会社の専門職の一つである医薬情報担当者は、医療現場や調剤薬局などに自社が扱う医薬品に関する正しい情報提供が主な業務です。こうした職種に就くには特定のスキルや免許は必要とされないことが多いですが、国内外の大手の製薬会社では薬剤師の免許を持つ人を採用選考や入社に際して給料の決定などの面で優遇しているところが目立ちます。
医薬品の情報提供を求める事業所の数は各地に年々増加しており、古くからある地域の総合病院だけでなく、新しく開業した調剤薬局や介護事業所などでも需要が高まりつつあります。そうした状況で、医薬品の特徴を理解してもらい、今後の受注や顧客獲得に結び付けるには、様々な業界での注目度が高まっている医薬品の知識を得るのはもちろん、誤解を招かないよう顧客への説明の仕方に気を付けることも重要です。
薬の研究をするには学位や過去の成果が求められる
製薬会社で医薬品の開発に向けた研究を志す若手の薬剤師は少なくなく、中には大学院において先進的な分野の研究に取り組んだり、海外の研究機関でキャリアを積んだりする人もいます。研究職に就くために課している条件は製薬会社によってばらつきがありますが、入社後に研究職として潤沢な資金の提供を受けて仕事に取り組みたい場合は、若いうちから博士号の取得を目指したり、在学中に製薬会社のインターンシップに参加をしたりするのがおすすめです。
また、製薬会社の研究所のリーダーとして活躍するには、採用時に実際に医療業界の中で高く評価されている新薬を開発した実績が必要となることもあります。
治験に携わる職種は新卒や未経験者も採用されやすい
新薬の治験に直接かかわる製薬会社の社員は、万一の事故や健康被害の防止のため、医療機関の関係者や実際に治験を受ける人と対話をする場面が多く、薬に関する知識の他にコミュニケーション力も要求されます。一方で、治験の実績が豊富な製薬会社においては、治験の開始前の打ち合わせからアフターフォローまでの業務マニュアルが用意されているため、新卒者や未経験者も従事することが可能です。