2019年12月15日
医薬分業が進みだして以来、医療機関、特に、多くの患者が来院する総合病院の周囲には調剤薬局の増加が目立ってきました。しかしながら、全国の調剤薬局数がドラッグストアや薬局を合わせると58千店に達して55千店のひしめくコンビニ店舗数を超えてしまいました。
医薬分業の本格化以降引く手あまただった就職先
昨今はコンビニでさえ、街中に1店舗が新設されるとどこか、別の店舗が閉まるほどの過密振りになっています。従って、コンビニ店舗数を上回ってしまった調剤薬局やドラッグストアもこれ以上増加する勢いが終わったと言われています。
調剤薬局やドラッグストアの新設が続いていた時期には薬剤師の求人募集される状況が続いていたわけです。このため、医薬分業が本格化して以後、毎年、国家資格合格者は引く手あまたの就職状況が続いてきたはずです。しかも、これだけ全国各地に調剤薬局やドラッグストアが増加したので現役の資格所有者も年齢を問わず雇用条件の良い店舗へ転職する事態が続きました。
そこで、どこの店舗も雇用条件を見直して従業員確保に懸命になっていたわけです。
M&Aが始まり、店舗数の飽和状態が到来した業界
このように活況を呈する人材採用状況を見て受験生が大学薬学部や薬学系専門学校へ押し寄せる傾向が続いたため入学定員増加対策が追い付かない時期もあったようです。但し、ついに店舗数の飽和状態が到来した模様です。
林立する同業者同士の過当競争も頻発して経営状態の厳しい店舗も増えてきました。売り上げを増やそうと、ドラッグストアの中には医薬品以外に日用品や食料品の販売を手掛ける等、取扱商品を増やす店舗が徐々に増えてきたようです。
更に、薬局グループ同士のM&Aが行われる事態が始まっているので今までのような薬局の人材不足状況が一気に静まってしまったようです。
急速に始まりそうな雇用条件の良い求人先の減少
従って、現役の薬剤師も今までは希望する雇用条件の薬局へ転職することがかなり自由になっていた時期もありましたが、これからはそう上手くいかなくなっていくことが避けられません。調剤薬局やドラッグストアで白衣を着て処方箋に従った医薬品の調合、患者への配布や多剤服用等相談へのアドバイスをしていれば済む時代でなくなってきたかもしれません。
もちろん、国家資格所有者の職場は調剤薬局や医療機関だけにとどまりません。市町村の保健所や学校の保健室、製薬企業の研究開発職、或いはMR等、薬局以外にも幅広く考えられます。但し、希望する職場へ有利な条件で転職するには他の職業同様にキャリアを積んでいるか、スキルを持っていた方が良いことは当然でしょう。
年齢に関係なく、求人先は職務を幅広くこなしてくれる適任者を募集しているからです。特に、今後の高齢者の増加する社会では患者の医薬相談に対する業務をそつなくこなせる人材が求められると言われています。